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河島英五



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河島英五

酔い語り

作詞:河島英五
作曲:河島英五
編曲:宮本光雄

昔話を聞いてくれるかい
いやいや手間はとらせない
ほんのつかの酔い語り

(語り)
俺の家は畳屋で、俺の親父は昔気質の職人肌の、
今思たらええ親父やったけど、
「俺は親父みたいになれへん。
俺はネクタイしめて大会社へ勤めるんや」と、
親父やおふくろに無理させて、やっと入った東京の大学…。
ところが…、二年の春に、ポックリ親父が死んでしもた。
妹はまだ16。
おふくろはショックで寝こんでしまうし、
俺はおふくろのたっての願いで、親父の知り合いの畳屋へ奉公にあがったんや。
「お父ちゃんが残してくれたお金、たくさんはないけど
私らはなんとかやっていくさかいに、お願いやからお前立派な
畳職人になって、この家を継いでおくれ」
そういうておふくろに、頼まれた。
子供の頃から、あんなに嫌がってた畳屋に、俺はなろうとしたんや。


三年間 頑張った
駅前通りの 畳屋で
おふくろの内職を 妹も覚えはじめた

(語り)
ところが、そこの親方、ろくろく仕事教えようともせんと、
「畳屋なんかもうおしまいや、こんなもんいつまでも続くもんやあらへん。
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そのうち、みんながハイカラハイカラ言うようになったら、
こんなもんもう終わりや」
そんなことばっかり言いやがる。
せやけど俺は、「一流の畳屋にさえなれば、
みんながみんな、西洋人みたいになる訳やないやろうし。
俺は…、親父よりも立派な畳職人になってみせる」
そう思て頑張ったんや。
せやけど…、そこの親方、もっと他のこと考えてやがって、
三年たって、そのクソ親父の念願通り、駅前の拡張工事が始まると、
市役所のおえら方さんが持ってきた、立ち退き料をたんまりもって
さっさとトンズラしてしまいやがった。
俺はいったいどうなるんや……
途方にくれて、家に帰ると、妹は嫁支度。
「大学出のインテリに見初められたんや」と。
おふくろも、もう畳屋のことなんか忘れてしもうて、
妹と一緒に暮らすんやと、ほっとしたような、顔してな…。
みんな、好きな事いうとれ!
いつか、「あの畳屋のぼうず頑張りよった」
そない言わして見せる……。

俺にも、意地があるんや。


赤い顔してさしむけられた
一杯の酒はひとむかし
まして一日は ひとしずく

昔話を聞いてくれるかい
いやいや手間はとらせない
ほんのつかの酔い語り

  1. 感謝 toyo 提供歌詞