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河島英五



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河島英五

十二月の風に吹かれて

作詞:河島英五
作曲:河島英五
編曲:宮本光雄

生まれて暮してただそれだけで
生きているって呼べるだろうか
少年はぼんやり空をながめては
茜雲に涙ぐむのは何故だろう
若者は幾つも恋をしてみるけど
答えはそう簡単に見つかりはしない
やり場の無いいらだちが…怒りに変わる時
騒いだ血の熱さが生きているって証しだろうか

つかの間の輝きもやがて色褪せて
すぐにあきらめる事を覚え
また元ののっぺらぼうの行列の中に
紛れ込み閉ざされた羊たちの真似をする
にぎやかさと馬鹿馬鹿しさに逃がれる事はしたくない
たとえ暗い部屋の隅で死んだふりをして見せるとも
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自分は一体何者なのかと訊ねてみる
忙しげに行き過ぎる十二月の風を睨みつけて

この国では電車の温度を上げろとか下げろとか
シルバーシートは若者たちの恥じらいの無さを
週刊誌の車内広告もお国の偉い方々も
合い言葉は恥じらいを捨てて生きよう
海の向こうではお腹をすかせて倒れてゆく
裸の子供たちの悲しい眼差し
生まれてうわさしてただそれだけで
生きているって呼べるだろうか

海の向こうの出来事もただのうわさ話として
駅のホームに散らばってる十二月の風に吹かれて

私は今ぼんやり空をながめては
生きることの不確かさと悲しみを思う