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小高芳太朗



歌詞
專輯列表

小高芳太朗

蜘蛛の糸

作詞:小高芳太朗
作曲:小高芳太朗

夕方の馬鹿デカい公共団地を見るのが好きだ
窓に次々と灯っていく明かり
そこに匂うそれぞれの暮らしの気配
それは俺がどこかで失くしてしまった
懐かしい何かを彷彿とさせて
寂しいような切ないような
言いようの無い感覚が胸に空いた穴を吹き抜けていく

空には紫色の雲が藍色の夜に飲み込まれようとしていて
車のヘッドライトが狭い路地を猛スピードで通り過ぎる
数十センチ隣の死の臭い、ありふれた場所に潜み獲物を狙う闇
蜘蛛の糸のように細い細い日常を伝い歩いている事を誰もが忘れ

レイプされて自殺した少女、親に見捨てられた部屋で餓死した幼子
介護施設の窓から飛び降りた老人、通り魔に意味もなく刺された若い女
今日も理不尽な死は世界に溢れて、対岸の火事だと誰もが思っていた
怒りと恐れと好奇心と高揚感が入り混じりながら

新宿の大ガードの下、道路の上で浮浪者が冷たく転がっている横を
清潔な服を着た人々がまるで物を見るように通り過ぎて行った
金で女を買った男が腰を振りながら
唾を撒き散らして説教をする
親が泣いてるぞ親が泣いてるぞ親が泣いてるぞ親が泣いてるぞ

壊れて捨てられた傘、片方だけ落ちていた手袋
溢れかえったまま忘れ去られたゴミ箱、もう誰も住んでいない朽ち果てた家
かつてそれらは生きていて、かつてそれらには意味があった
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意味があったはずだった

あの人が死んで
代わりに小高が死ねばよかったのに、とネットに書かれていた時
怒りよりも悲しみよりもその通りだと思った
なのに安穏と俺は今日も生き延びている
蜘蛛の糸にしがみつきながら
決して切れない事を祈りながら

頭を踏み潰された子猫がアスファルトにへばり付いていた
その上を何度も車が行き交う
何度も何度も何度も何度も
この世に理不尽以外の平等などあるのだろうか
頭の中で鳴り響く
おまえが死ねばよかったのに
おまえが死ねばよかったのに
おまえが死ねばよかったのに

夕方の馬鹿デカい公共団地を見るのが好きだ
窓に次々と灯っていく明かり
そこに匂うそれぞれの暮らしの気配
それは俺がどこかで失くしてしまった
懐かしい何かを彷彿とさせて
寂しいような切ないような
言いようの無い感覚が胸に空いた穴を吹き抜けていく

どこかの家からは夕食の匂いがして
楽しそうな笑い声が聞こえる