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ナナヲアカリ



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ナナヲアカリ

陽傘

作詞:澤田空海理
作曲:澤田空海理

夢を見ていた。三時をまわっていた。
懐かしい黴の匂いがして、
君が夢に出たことを伝えたかった。
今更、笑って会えるような気がしたんだ。

空き壜をサンダルで蹴るような
割と無敵だった夏のこと。
振り返るたびに焦がれてしまう。
昔の自分に憧れてしまう。

「もう帰る時間だよ」
帰り道なんてものがそう、確かに在ったこと。
陽傘を「大げさ」と言う君は、
もう大人になったのかな。
なれたかな。

ねぇ、夏の終わり際って何で
こんなに寂しいんだろうね。
繰り返すには早く、振り返るには遅い。
見えない敵をつくったって
決して生きやすくはならなかった。
飛ばせなくなる階段。それでも磨り減る靴。

馬鹿にされているようで朝が嫌いだったこと。
守られているようで夜が嫌いだったこと。
そんなものの上に、弱い弱い私がいたこと。
せめて、君には知ってほしい。

嫌われたくないから、
合わせる会話が随分上手になったよ。
伏し目がちに頷いた君が
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どうしても消えないままだ。

ねぇ、夏の終わり際って何で
こんなに懐かしいんだろうね。
記憶を触る度、かすかに遠くなる。
サイダーが飲めなくなって、
日に焼けるのを好まなくなって、
あの頃の私ごと否定する気がした。

いつの間にか周りだけが大人になっていく。
私にはひたすら眩しい。正しくなりたい。
背丈が伸びても、変わらず届かない何かがあって、
それにひどく安心した。

夢を見ていた。三時をまわっていた。
懐かしい黴の匂いがしました。
喋り方を真似てふざける二人でした。
馬鹿だな。代わりなんていないのに。
そんなの、とっくに知っているのに。

ねぇ、夏の終わり際って何で
こんなに寂しいんだろうね。
繰り返すには早く、振り返るには遅い。
見えない敵がいなくたって。
決して生きやすくならなくたって。
差し出された手だけは握り返せるように。

朝日が、いつも君みたいに眩しかったから。
夜の空気が、君みたいに心地いいから。
忘れたくないのは、君のこと。
だから、嫌ったこと。
思い出すのは夏のこと。